1月10日(日)仙台コミケ227にて
頒布開始!
1月10日(日)仙台コミケ227
場所:夢メッセみやぎ
時間:11時~15時
スペース:C22
サークル:Sancarea Record
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頒布価格 300円
小説「死後と私と私の日常」
テーマソング「シグナル」
小説冊子+アルバムのセットで
お届けいたします。
死後と私と私の日常
Official Website
赤く焼ける視界と叫ぶ声、それらが焼き付いた自分の意識が鮮明に残っていた。
私は、今日もこの世界を歩いている。
やや大人しくなり始めた蝉時雨が響く、夕暮れの公園。
遊具の影が長く伸び、どこかもの悲しさを感じる。
残暑はまだ厳しく、むわりとした湿っぽい熱が少し不愉快に感じさせる。
○○ちゃん、そろそろ帰るわよ。
はーい。
砂場で砂の城を作る男の子。それをベンチで待つ母親らしき女性。
帰ると言っているのに、男の子は一向に手を止める気配が無い。
私はぼんやりと、女性のひとつ向こうのベンチに座ってそんな二人を眺めていた。
ベンチで佇んでいると、夕日に染まる私の視界に、ふと黒い影が見えた。
「やっと見つけた」
その言葉を聞き、辺りをきょろきょろと見回す。
だが、母親と子供以外の誰も見当たらない。
気のせいかと思った時、再び声が聞こえた。
「あなたの他に誰がいるのよ」
「え、私?」
「そう、迎えに来たわよ。帰りましょう、彼岸に」
「私が見えてるんですか?」
「ええ、よく見えてるわ」
声をかけてきたのは年の頃は二十代くらいの、黒いコートを着た女の人だった。
秋が近づいて涼しくなってきたとはいえ、まだコートを着るには早すぎる時期に、彼女は汗ひとつかいていない。
涼しげな表情は、どこか冷たささえ感じる。
まるで、この世界から切り離されたような空間にいるようだった。
もっとも、それは私にも言えることだろう。
「……そっか、死神の噂って、本当なんだ」
「誰かに聞いたの?」
そういうと、彼女は私の隣に座った。
「私と同じように残されたおじさんがいて、その人に教えてもらった。
私が死んでいるってことも、残ってしまった人を迎えに来る死神がいるってことも」
死後と私と私の日常